他力



         他力とは、如来の本願力(ほんがんりき) ─────   


               親鸞聖人ご自身のお言葉によって、「他力」の意味を

              たずねてみましょう。


               「他力と言うは、如来の本願力なり」

                                『教行信証』行の巻/他力釈

                           (真宗聖典・東本願寺版 193頁)



               「大経(だいきょう)往生というは、

               如来選択(にょらいせんじゃく)の本願、不可思議の願海、

               これを他力ともうすなり。これすなわち念仏往生の願因に

               よりて、必至滅土の願果をうるなり。現生に正定聚のくらいに

                    住して、かならず真実報土にいたる。」

                             『浄土三経往生文類』

                             (真宗聖典・東本願寺版 468頁)




               大経とは、『大無量寿経(だいむりょうじゅきょう』という

              経典の名前です。大無量寿経に説かれている本当の往生のことを、

               親鸞聖人は「大経往生」とも、「難思議(なんしぎ)往生」

              とも言われています。







              *難しい字や題目の読み方

                『教行信証』(きょうぎょうしんしょう)

                『浄土三経往生文類』(じょうどさんぎょうおうじょうもんるい)

                正定聚(しょうじょうじゅ)







                上の内容を補足するおことばを、やはり『三経往生文類』の

               中から引用しておきます。



                「この阿弥陀如来の往相回向の選択本願を、みたてまつるなり。

                これを難思議往生ともうす。これをこころえて、他力には義なき

                を義とすとしるべし。」(聖典470頁)




                「如来の二種の回向によりて、真実の信楽(しんぎょう)をうる

                人は、かならず正定聚のくらいに住するがゆえに、他力ともうす

                なり。」(聖典471頁)